安定感のある四寸勾配の屋根が印象的なファサード。築山に植えられた落葉樹が建物を程よく隠すと共に、奥行き感を生み出している。
里山の自然と向かい合い 四季折々の美景を愛でる 新潟市 S邸
「家を建てるなら、山の近くに住んでみたかったんです」。そう話すご主人が見つけたのは、秋葉区の山裾の土地。向かいには緑あふれる公園があり、そのロケーションが気に入り家を建てることにしたそうです。 深い庇が伸びる切妻屋根に、杉板と塗り壁仕上げの外壁。アプローチには石を敷き、植栽にはモミジやヒメシャラなどの落葉樹を選定。昔からそこに佇んでいたかのような、風景に溶け込む住まいが完成しました。 「はじめは眺めのいい2階リビングを希望していましたが、やはり庭と繋がるリビングにしたくなって…」と、途中で計画を変更したというご主人。天井高を低めに抑えた1階は、庭、濡れ縁、ダイニング、小上がりが繋がる空間で、視線は自ずと窓の先にある庭や公園の木々へと向かいます。とりわけ奥まった場所にある小上がりは、何とも言えない安ど感を味わえるスペース。ちょっとした床レベルの違いが、空間に心地よい変化をもたらしています。「休日はゆっくり料理をして過ごしたり、ずっと居たくなる家ですね」と、奥様は満足そうに話します。 UA値=0.31という高い断熱性能や、2階床下に設けられた「階間エアコン」による全館空調も高い満足感に繋がっています。「冬暖かく夏涼しい家です。この家に住んでから、自分で芝を張ったり、庭いじりも新しい楽しみになりました」(ご主人)。
小上がりから眺めるダイニングと庭。天井高は2.2mと低めに抑えられており、それによって大窓の外の景色が際立って見える。
周囲に余白を生む円形テーブルが空間にゆとりを感じさせる。壁にツガの羽目板が張られた小上がりは、光を抑えた落ち着ける空間。
カラマツの床と相性のいい造作のキッチン&カップボード。シンク下はゴミ箱置き場として活用。
玄関とLDKの間を建具で仕切らず連続させることで、大らかな雰囲気をつくり出している。階段下の机や小上がりのソファはご主人のDIY。「この家に住んでからDIYをすることが増えましたね」(ご主人)。
正面に公園の木々を眺められる2階のスタディーコーナー。「景色が良すぎて仕事に集中できないのが悩みです」とご主人は笑う。奥に見えるのは子ども部屋。
2階の中央に設けられた入れ子のような寝室は、桐ベニヤのヴォールト天井が印象的。
豆砂利洗い出し仕上げの玄関は、下駄箱だけがあるすっきりとした空間。玄関ホールの横には、帰宅後すぐに手洗いができる洗面台が配されている。
通りに沿って建てられたウッドフェンスが落ち着いた風景をつくり出す。通りから中の様子が見えないように、遮蔽性が高い大和張りを採用。
伝統的な民家のように深い軒が伸びる南東面。軒は壁や濡れ縁を雨雪から守り、夏の日射を遮る役割を果たす。
1F
2F
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お客様の声
家が完成して住み始めたのが、新型コロナウイルスが流行り出したタイミングでした。家に居る時間が増えましたが、庭いじりで気分転換ができましたし、子どもたちは横の公園で遊べてあまりストレスを感じることなく生活ができました。アパートに住んでいた時には考えられないくらい自宅で快適に過ごせましたね。庭づくりはその後もずっと続けていて、今はフェンスの下を目隠しする植物を植えようと考えています。
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担当スタッフコメント
2階の寝室を温熱的にニュートラルで居心地のいい空間にしようと考え、あえて家の中央に配しています。切妻屋根という構造上天井を高くできるため、Rの付いた天井にしました。この寝室の形はアメリカのフォートワースにあるキンベル美術館のデザインをモチーフにしたものです。床は20cm上げて畳敷きにすることで、落ち着ける雰囲気をつくり出しています。
設計部部長 阿部 誠治
DATA | |
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家族構成 | 夫婦 子ども2人 |
竣工日 | 2020年02月 |
構造 | 木造軸組工法 |
延床面積 |
107.96m²
(32.67坪)
1F 61.69m² (18.67坪) 2F 46.27m² (14.00坪) |
設計者 | 阿部 誠治 |